モデルベース技術者の育成

作成者: 稲葉 宏明

 自動車の高性能化・高機能が進み、自動車の新しい技術やサービスを示すCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)、さらに日本の自動車メーカのトップが「ソフトウェアファースト」を宣言しています。CASEという言葉が示すように、安心安全を実現する自動運転、地球に優しい環境対応を実現する電動化、クルマが情報端末になるコネクティッド化が進んでいます。これらは全て電子技術とソフトウェア技術によって実現していますが、複雑で多岐に渡る要求の明確化、多彩な技術を連動させる技術力、そして、それらの品質を如何に担保するかが成否の鍵を握っています。特に多岐に渡る要求を如何にわかりやすく、再利用性の高い設計とするかにおいてはMBSE(Model Based Systems Engineering)と呼ばれる上流工程に適した開発手段が採用さています。このMBSEはモデルを用いてシステムズエンジニアリング(要求分析、設計、検証)を効率的に行う手法です。

Modelの再利用で解決できる多くの課題
Model再利用の対象

 

また、設計段階から品質を埋め込むことで検証工程からの手戻りをどう抑制するかにおいてはMBD(Model Based Development)と呼ばれるシミュレーションによる事前評価を取り入れた開発手段が採用されています。このMBDはモデルを用いてシステムの開発や評価を実機ではなくバーチャルで効率的に行う手法です。シミュレーションにはMILS(Model-in-the-Loop Simulation)、HILS(Hardware-in-the-Loop Simulation)、RCP(Rapid Control Prototyping)というような種類があり、開発フェーズに適したものを選択することが重要です。このようなモデルを用いたシミュレーション技術を使いこなすモデルベースエンジニアの育成は業界において特に重要な課題となっています。

Modelの詳細度とテスト
Model Basedな開発で強い組織作り

 私は、2018年にキャリア採用でSCSKに入社しました。それまでは完成車メーカ等の研究/先行分野で車車間・路車間通信を利用した安全運転支援システムや、発電用エンジンを搭載したEV車の統合制御システム、発電用エンジン制御システムの開発に携わり、机上だけでなくRCPによる実車公道試験まで実施してきました。現在に至るまで15年に渡り車載システム開発に携わってきていますが、これはすべてモデルベースによるものです。MBSEによる設計に始まりMILS、HILS、RCPを用いたMBDによるフロントローディングが如何に重要で開発工数の効率化に寄与するか身をもって体感してきました。

 SCSKではモビリティ事業グループとして従来からの量産工程におけるMBDサービスだけでなく、近年はより上流工程でのMBSEやRCPによるMBDを中心としたサービスを提供しています。また、MBSE及びMBDを効率よく実施できる仕組みを構築するサービスも提供しています。CASE時代によって完成車メーカとサプライヤの関係変化、そして技術者に求められるスキルの上流シフト、この大きな変革に対応できるような研修やOJTによってモデルベース技術者の育成を進めております。SCSKのモデルベース部隊は、自動車開発の変革に対応した車載ソフトウェア開発を、自動車産業に関わる皆様からの信頼を基に、共に新たな価値を創造し、夢ある未来を築き、人と地球に優しい新しいモビリティ社会の誕生に貢献して参ります。

作成者: 立松伸哉

ETロボコンを活用した組込み技術者の育成

 SCSKの組込み部隊は、1970年代、製鉄所の搬送路制御から始まって以来、長い歴史があります。2000年前後のビジネス系基幹システム開発の活況に圧され、組込み技術者のビジネス系技術分野への配置転換が行われ、関西、関東地区の家電系部隊が解散され、名古屋地区の車載系開発を担当していた部隊のみが辛うじて存続しました。

 2000年以降の自動車への環境、安全要求が増えたことで、車載に搭載されるECUが急増し、ECUソフトウェアは複雑、膨大化しました。その結果、低迷していた車載系マーケットは2002年を底に回復し、SCSKの組込み部隊はモビリティシステム開発部門として車載開発を中心としたサービスを提供しています。